余談-マウソックの大きな声で独り言 第4回

マウソックの大きな声で独り言をお読みいただき、誠にありがとうございます。

前回、「余談ーマウソックの大きな声で独り言 第3回」では、マウスが手を振ることから、集団生活と模倣行動は何らかの相関関係があるのではないかとお話ししました。

今回、「余談ーマウソックの大きな声で独り言 第4回」では、その仮説の根拠となった研究を紹介させていただきます。

 

早稲田大学の研究
―隔離飼育されたマウスの「周囲に馴染まない」⾏動は、集団飼育されたマウスとの同居で改善―

■登場鼠物
 マウスA君
 マウスB君
 マウスCくん
 マウスDくん

■観察
 生後4週間で離乳した(巣立った)A君、B君、Cくん、Dくん
 A君 :一匹生活スタート!
 B君 :一匹生活スタート!
 Cくん:集団生活スタート!
 Dくん:集団生活スタート!

 そして・・・35週間後
 A君、B君、Cくん、Dくん、みんなで、集団生活スタート!

 A君 :集団生活になかなか慣れません・・・
 B君 :集団生活になかなか慣れません・・・
 Cくん:集団生活にすぐ慣れたよ!Dくん、くっつこ!!
 Dくん:集団生活にぼくも、すぐ慣れた!Cくん、くっつこ!!

 そんな2匹をみていたA君、B君・・・さらに数日後・・・

 A君、B君、Cくん、Dくんみんなで仲良くくっついてマウス団子が完成。

画像1

          図1 マウス団子・・暖・・
         (マウス団子:ハドリング(寄り添い行動))
赤い線がついているマウスが、このお話しに置き換えると、CくんとDくんに該当します。

■考察
―集団生活をするまわりのマウスを見て自然に真似をするようになる―このような実験から、周囲になじまない行動は、集団飼育されたマウスとの同居で改善すると結論付け、精神疾患の治療法開発研究への寄与に期待できるとしています。

 

マウソックの観察
マウソックは、この結論に、+αとして、マウス個体に環境がどのくらい合っているのかが原因しているのではないかと思っています。

詳細は、以前記載した「マウスが鬱になっちゃった」をお読みください。

■マウスが鬱になっちゃった
概要
ととくん、ここくん、ももくん、ぽぽくんは、マウス団子を頻繁に作っていました。そのうちにマウス団子が壊れることが頻繁に観察されました、観察を続けると、ぽぽくんが執拗な攻撃に合っていることが分かりました。そして、ぽぽくんは、鬱様行動をとるようになってしまいました。

なぜ、寄り添い行動から鬱様行動を発するまでの攻撃行動になってしまうのか、また別の一例を下記します。

■ジュニア君とあーちゃんの場合
ジュニア君は、離乳して1か月程経過したのち、実は3日〜4日ほどあーちゃん(ジュニア君の父親)と同居生活をしたことがありました。

しかし、2匹は、マウス団子を作っても、すぐに鳴き声をどちらかがあげるほどの攻撃行動をお互いがしていました。

このころ、あーちゃんとジュニア君は劇的に生活環境が変化したため、不安があったのだと思います。

実際、不安様行動として、1)あまり動かない 2)暗いところにいる時間がやたらに長いということが観察されました。そして、しきりに鳴き声を上げていました。

4日目以降、2匹を単飼育にした結果、時間がかかりましたが、次第に不安様行動が減っていきました。

マウソックの考察
早稲田大学の研究と私のマウス飼育経験から、いかに環境から不安を取り除くか、それが、マウスの模倣行動につながると考えています。

このように結論つけられる数値データは持ち合わせていませんが、大きな不安を抱えているうちは、縄張り意識もあって、マウス団子を作らず、作ってもすぐに壊れ、周りと同じような行動はとらないことを飼育観察から確認しています。

 

マウソックの記憶の中で
ににちゃん、ぽぽくんが私の手元を去って、今、しばらくの時間が過ぎたことに気が付きました。

一生懸命に手を振り返してくれたににちゃんぽぽくんは、
「まぁ、ベスト!ってわけじゃないけど、この環境はまあまあかなぁ」と、伝えてくれていたのではないか

 

マウソックの目にゆらゆらと涙があふれてきました。

 

それを、壊してしまったのは、飼い主でした。
ににちゃんは、おやつによるアレルギーによって、掻痒行動が止められず、皮膚疾患を患い、全身に発症してしまいました。

ぽぽくんは、次第に体重が軽くなり、重さを感じられなくなりました。
死期が近いことを悟った飼い主は、闇のようなかなしみに耐えることができず、栄養ミルクを好きなだけあげてしまいました。
ぽぽくんは、体調をくずし、亡くなってしまいました。

 

今、手元にいるジュニア君は、手を振ることをしてくれていません。
手元にいてくれる時間は、限られています。
至らない飼い主は、手元に残った最後のマウス、ジュニア君の顔を見つめて、手を振り続けています。

―何をいっているの?どうして手をひらひらさせるの?-

時々、顔をかしげながら、ジュニア君の目は、今日もまっすぐに私をみていました。

 


参考資料
早稲田大学 Topic
https://www.waseda.jp/top/news/62583